競合調査(開業7ヶ月後)

こんにちは、瓦.Tokyoの西田です。

飲食業界は、参入障壁が低く、既に飽和・過当競争状態の市場ですので、当然競合店が数多く存在します。

お店をオープンした時点で、既に存在する競合店に加え、オープン後も、どんどん新しい飲食店がオープンしますので、常にそうした競合店との競争に勝っていかなければ、お店を続ける事ができません。

しかし、個人的には、同じ商圏内の飲食店は、共に街を盛り上げる仲間だと考えるようにしています。

 

例えばITの世界では、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)と呼ばれるようなビッグプレイヤーがマーケットの大半のシェアを確保しているというような市場もある訳ですが、飲食業界は、他の業界に比べて圧倒的なシェアを持つプレイヤーがいません。

これは、飲食ビジネスが労働集約的で、箱物のビジネスであり、売上のキャップがある事から、レバレッジを効かせにくいという構造上の理由もありますが、

人は普通、毎日同じものではなく、日々色々なものを食べて、色んなお酒を飲みたいと思っている人が大半ですので、同じお店でのリピーター化には限界があり、どうしてもお金の流れが分散してしまうものだからです。

※大きなシェアを獲得出来るとしたら、総花的なファミリーレストランや総合居酒屋が一番可能性は高いのですが、近年は消費者の趣向も多様化し、コンセプトのはっきりした専門店が選ばれる傾向が顕著なので、そうした中で売上を伸ばす為には、複数の専門店業態を抱える戦略が正攻法になります。

 

昨日は焼肉だったから、今日はイタリアンにしようとか、

昨日はワインだったから、今日は焼酎にしようとか、

市場のニーズが、消費者一人一人のレベルで日々変化するような中では、一つの商圏の中で競合店との勝負しても仕方ない部分もあり、

日本酒を提供する瓦.Tokyoが、ワインを提供する近隣の飲食店を過度に意識しても、大きな意味は無いかなと考えています。

勿論、市場調査、商圏分析は必要です。ビジネス街と学生街では、求められる単価や雰囲気、クオリティが異なります。明らかに業態として被っている競合店舗が存在する場合は、当然差別化を図るべきです。

とはいえ、周囲を意識するあまり、自店舗のコンセプトや軸を曲げてしまっては本末転倒と思いますので、私は精神衛生上、あまり意識しないようにしています。

 

ただ、そうは考えてはいるものの、業態によっては、お客さん側である消費者によってベンチマークされる飲食店が存在します。

瓦そばで言うと、山口県にある「たかせ」というお店です。

瓦そばを考案したとされているお店で、山口県で瓦そばを食べるとすると、“必ず”一番最初に候補にあがる、元祖を名乗る超有名店です。

 

こうしたお店がお客さん側にベンチマークされていると、瓦.Tokyoの瓦そばを食べた時に、「たかせと比べてどうか?」という観点で店が評価されます。

個人的には、瓦そばに限らず、全ての料理には各店舗、各家庭の味があって良いと思うのですが、お客さんの中には、「たかせの瓦そばをイメージして来たが、イメージと違った」という方がオープン当初、予想以上に多く、悪い意味で期待を裏切ってしまったようで、これでは出す方も作り甲斐がなく、お互い不幸です。

 

そこで私は、開業7ヶ月を迎えた2017年のゴールデンウィークを使って、山口県への出張を計画し、実際にたかせの味を調査してきています。

 

瓦.Tokyoは、東京の人にも瓦そばを親しんでもらいたいという想いから、東京の辛口醤油をベースに、瓦そばの醍醐味の一つである蕎麦のパリパリ感を強調する為に細めの麺を使用していますが、それと比べると、たかせのつゆはもっと甘く、濃く、もっちりとした麺を使用しています。

↓たかせの瓦そば

そして、この調査を経て、たかせの味に寄せたつゆと麺の開発に着手するのですが、ラーメン屋で言えば、豚骨ラーメンを出していたお店が、味噌ラーメンを新たに出し始めるようなもので、厨房のオペレーションを複雑にしてでも、多様なニーズに応えると言えば聞こえは良いですが、当初のコンセプトは何処へやら?という話でもあり、本当にメニューに加えるかどうかは、最後までかなり悩みました。

 

最終的には、開業1周年を機に、今までの細麺・辛口の瓦そばを「瓦.Tokyo ORIGINAL」とし、山口から取り寄せた太麺と、甘口醤油を使った「山口STYLE」という新メニューを”ディナー限定”で出すという落とし所に着地していますが、それ以降、「これは偽物だ!」と言われる事は減り、それぞれの味を楽しんで貰っている感じで、研究して良かったなと考えています。

 

さて次回は、倉庫の契約について、ご紹介したいと思います。

 

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